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やさしい心に触れて

関西電力神通川電力所 荒井清勇

朝の挨拶は通常「おはようございます」一回だが、花生は一回とは限らない。最初は、あれっ!と思ったが、最近ではどうにか花生の気持ちが少しわかる様な気がする。

苑生は多くを語らないが、感受性が優れており、素直で正直な気持ちを実に豊かな表情で示してくれる。「おはよう」の言葉に何気なく応じているうちに、最初の「おはよう」は朝の挨拶、次の「おはよう」は「今日来てくれてありがとう」そして三度目は「今日は天気もいいしとってもいい気分です。」等々同じ「おはよう」のようだが、いろんな意味が込められていることが、ほんの少しわかってきました。

そうなれば、私も言葉だけの「おはよう」ではなく、花生のように気持ちを表現できる「おはよう」を返したい!という気持ちが湧いてきます。

そして苑内では、不思議にそれを挑戦してみようという気持ちになれることが、自分の好きな自分に変れるのではないかと思わせるのです。

新聞記事のアルミ缶ネットワークのインタビューに参加の理由として「好きだから」というのがありました。その「好きだから」の中に参加者それぞれの想いが表現されている様に感じます。

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それらの例えは、たくさんあります。アルミ缶ネットワークの仲間というだけで、名前も知らず、今まで会ったこともない人なのに、一緒にアルミ缶を潰していて心の交流をお互い感じ会えることです。休憩時間を含め何方からともなく声を掛け合い、苑生の想いを語り合うと、もうとまらなくなってしまいます。

こんなに私を夢中にさせる苑生の力は一体何なのか、それは未だわからないが、人間本来のあたたかい心、やさしい心、素直な心を呼び起こしてくれるような、嬉しい気分がこの活動によって味わえることで、みんな共感するのではないだろうか。

便利で物が豊富なことは幸せの条件ではあるが、真の幸せはそれに心の豊かさが叫ばれる今、苑長先生の言われるノーマライゼーション活動は、苑生のみならず、むしろ健常者が求める活動に発展してこそ、真の幸せを感じあえる社会に変えていくことにつながる想いがしてならない。

この度、セーナー苑三十周年記念と、ほほえみの丘竣工式において、神通川電力所が感謝状を頂きました。感謝しているのは私たちの方なのに……。皆さんのお心づかいに感謝し、さらに花生の気持ちが正しく理解できるように、……そして私たちは今、何が大切なのかを共に学んでいきたいと思います。

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